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【年末調整】スマホ入力の画面の前で、母の指が止まった|経理財務部の物語 第26話(2026年11月3日)

【年末調整】スマホ入力の画面の前で、母の指が止まった|経理財務部の物語 第26話(11月3日)
経理財務部の物語第26話2026年11月3日(火・文化の日)・ハルカの部屋・実家の居間次:第27話(2026年11月4日)|【年末調整のクラウド化】紙に戻すか続けるか、止まったのは画面の言葉
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舞台の会社について(開く)
架空の製造小売。グロース上場・3月決算・子会社3社。店舗68・賃貸借契約80件・経理財務部8人。来期(2028年3月期)から新リース会計基準が強制適用になる。年表・会社のいま・話数一覧は 経理財務部の記録 に。会計の知識は各話の末尾「この話に出てきた知識」からラボと学習ノートへ。

🎬 動画で見る第26話「スマホ入力の画面の前で、母の指が止まった」

この話を、声と絵で見られる動画です。クリックすると再生が始まります(YouTubeで開く)

PART 1物語
1

祝日の朝書きかけの一行

年末調整 経理側の要件(出口)11/3(火・祝)実家に帰る11月3日、文化の日。ノートは持っていかない。

2026年11月3日、火曜。
文化の日。
ハルカは8時に起きて、机の上のノートを見ないようにして、顔を洗った。

ノートには、昨日の夜に書きかけた一行が残っていた。
「年末調整 経理側の要件(出口)」。
その下は、まだ白かった。

11/3(火・祝):実家に帰る(昼ごはん)。ノートは持っていかない
ハルカ
心の声
今日は書かない。
祝日くらいは、ノートを閉じておく。
ハルカ
心の声
人事部は、二人が一人になる。
年末調整のクラウドを入れようとしていた人が、辞める。
ハルカ
心の声
私が頼まれたのは、出口の側だ。
12月の給与で精算して、源泉税を納めて、
源泉徴収票と法定調書を作る。

スマホが鳴った。母からだった。「お昼、何時ごろ? ちょっと聞きたいこともあるの」。

ハルカ
心の声
聞きたいこと。
……嫌な予感はしない。
たぶん、こむぎの爪切りのことだ。

ハルカは、ノートを机の引き出しにしまって、家を出た。

2

実家の居間「いないから、出さなくていい?」

年末調整令和9年分扶養控除等申告書扶養する人はいますか?いるいない次へ ▶「いないから、出さなくていいのよね?」
12時。実家の居間。こむぎは、ハルカの顔を見るなり、ソファの下にもぐった。妹は、友だちと出かけていた。
母
おかえり。
こむぎ、まだあなたの顔を覚えてないのかしらね。
ハルカ
先月も帰ってきたのに。
……聞きたいことって、爪切り?
母
それもあるけど。
これなの。
お店から、今年から年末調整はスマホで入れてくださいって。

母は、近所の店でパートをしている。差し出されたスマホの画面には、見慣れない入力の画面が開いていた。

ハルカ
心の声
……年末調整の、入口の画面だ。
母
去年までは紙だったのよ。
去年の控えを見ながら、同じように書けばよかったの。
母
これ、最初の画面で止まっちゃって。
「令和9年分 扶養控除等申告書」って書いてあるの。
扶養する人はいないから、出さなくていいのよね?
ハルカ
……ううん。
扶養する人がいなくても、
来年分の扶養控除等申告書は出すんだよ。
今年の年末調整の書類とは、別のものなんだ。
母
そうなの? 出す意味あるの?
こむぎは、まだソファの下にいる。
ハルカ
ある。
出さないと、来年のお給料から引かれる税金が、
高い方の計算になっちゃう。
お母さんは、今のお店だけで働いてるよね。
母
そうよ。
ほかでは働いてないわ。
ハルカ
じゃあ、出しておいた方がいい。
「いない」を選んで、その先に進めばいいんだと思う。
ハルカ
心の声
会社の名前を出さなくても、制度の話ならできる。
……ここまでなら、言っていい。

母は、画面の「いない」を押した。次の画面に進んだ。

3

一時間紙の控えを横に並べて

去年の控え(紙)前年と変更がない場合紙をやめても、紙が要らなくなるわけじゃない紙と画面を、指で行ったり来たり。
午後1時。母は、ハルカの隣で、一つずつ画面を進めた。ハルカは、スマホに手を出さなかった。
ハルカ
心の声
代わりに入れれば、五分で終わる。
……でも、来年もお母さんはこの画面を開く。
母
この「前年と変更がない場合」って、何と比べてるの?
ハルカ
去年、お店に出した申告の内容と比べる、
って意味じゃないかな。
ただ、来年分の申告に関係することで、
去年と変わったことがないかは確かめよう。
去年の控え、ある?
母
ある、ある。
引き出しに。
……紙なら、これを見ながら書けたのにね。

母は引き出しから去年の控えを出して、スマホの横に並べた。紙と画面を、指で行ったり来たりした。

ハルカ
心の声
紙の控えがあるから、画面が読める。
紙をやめても、紙が要らなくなるわけじゃない。
母
保険の証明書は、
紙で届いたのをお店に持っていけって書いてあるわ。
これは、今日はやめておく。
ハルカ
うん。
証明書が手元にそろってからでいいと思う。

気がつくと、2時を過ぎていた。こむぎがソファの下から出てきて、去年の控えの上に座った。

母
パートの人たち、たぶんみんな、
同じところで止まってるわよ。
店長に聞く人もいるし、閉じちゃう人もいる。
ハルカ
閉じちゃう人?
母
分からないところで止まると、そのまま閉じて、
締切の前の日にまた開くの。
私も、あなたが来なかったらそうしてた。
ハルカ
心の声
うちの会社にも、店がたくさんある。
店で働く人の多くは、パートの人だ。
ハルカ
心の声
入口で閉じた人の分は、出口に届かない。
12月の給与で精算する人の数が、
締切の前の日まで決まらない。
ハルカ
心の声
……でも、それを今、お母さんに言うことはできない。
明日、部長に言えるのも、一つだけだ。
4

夜のノート入口の側から

出口(経理側の要件)……の前に夜8時。昨日の一行の下は、まだ白かった。
夜8時。ハルカは自分の部屋に戻って、引き出しからノートを出した。昨日の一行の下は、まだ白かった。
ハルカ
心の声
今日は書かないつもりだった。
……一行だけ、書く。
ハルカ
心の声
出口の要件を書く前に、
入口で止まる人がいることを書いておきたい。
年末調整 経理側の要件(出口)入口で止まる人がいる前提で、出口の日程を組む(紙なら書き方で止まる スマホなら画面で止まる)明日:部長に一つだけ伝える今日は書かないつもりだった。一行だけ、書く。
ハルカ
心の声
紙に戻すか、導入を続けるか。
決めるのは部長だ。
私が決めることじゃない。
ハルカ
心の声
でも、どちらに決まっても、入口で止まる人はいる。
紙なら書き方で止まり、スマホなら画面で止まる。
ハルカ
心の声
明日、部長に一つだけ言おう。
「入口で止まる人がいる前提で、
出口の日程を組んでください」。

スマホが鳴った。母からだった。「こむぎの爪切り、聞き忘れた」。

ハルカ
心の声
……そうだった。
結局、それも聞きたかったんだ。

ハルカは笑って、「次に帰ったとき、一緒に切ろう」と返した。

結び

祝日の終わり入口で止まる指

年末調整の流れ(ハルカのノートから)入口従業員の入力・申告書人事部回収と確認出口12月給与の精算・源泉税・源泉徴収票止まる指入口で閉じた人の分は、出口に届かない明日、部長が決める日。

祝日が終わる。
母の申告書は、半分だけ進んだ。
保険の証明書の分は、まだ残っている。

ハルカが頼まれていたのは、出口の側だった。
その向こうに、スマホの画面の前で止まる指があった。

ノートの一行(11月3日・火・祝):入口で止まる人がいる前提で、出口の日程を組む

出口の要件を書く前に、
入口で止まる人を数えておく。

明日、11月4日。
部長が、紙に戻すか、遅れた導入を続けるかを決める日。

次の話へ持ち越したこと
  • 年末調整 ── 部長が明日(11月4日)、紙に戻すか、遅れた導入を続けるかを決める。ハルカは「入口で止まる人がいる前提で、出口の日程を組んでください」と一つだけ伝える
  • 年末調整の経理側の要件(12月給与の精算・源泉税の納付・源泉徴収票・法定調書)── ハルカ。ノートは一行目まで
  • 母の申告書 ── 扶養控除等申告書は入力済み。保険料の控除は、証明書がそろってから
  • 第25話からの持ち越し(人事担当の退職と引継ぎ確認表・ログの確認と社長への説明・読み合わせの再開・850の見直し・表示区分の経緯)は継続
学び

この話の学びと、母の言葉

ハルカの反省と学び
1出口の向こうに、入口がある
頼まれていたのは「経理が受け取るもの」の要件だった。母のスマホの前で、入口で止まった人の分は出口に届かないと分かった。
2扶養する人がいなくても、来年分の申告書は出す
「いないから出さなくていい」は、よくある思い込み。出さないと、翌年の給与の源泉徴収が高い方の計算になる。今年の年末調整の書類とは別のもの。
3代わりにやらず、横で聞かれたことに答える
代わりに入れれば五分だった。一時間かかったけれど、来年も母はこの画面を開く。
母の言葉(実家の居間から)
1紙なら、去年の控えを見ながら書けた
画面になっても、去年の紙を横に並べて進めた。紙をやめても、紙が要らなくなるわけではない。
2分からないところで止まると、閉じちゃう
そして締切の前の日に、また開く。店長に聞く人もいれば、閉じたままの人もいる。
3聞きたかったのは、爪切りのこと
年末調整は、ついでだった。……たぶん。
PART 2学ぶ世界へ・前後の話
→

この話に出てきた知識・前後の話

この話に出てきた知識(学ぶ世界へ)
経理財務部の物語|第26話|2026年11月3日(火・文化の日)
前の話:第25話(2026年11月2日)|【年末調整】人事の担当が辞める。年内は経理部長が人事も見る / 次の話:第27話(2026年11月4日)|【年末調整のクラウド化】紙に戻すか続けるか、止まったのは画面の言葉 / 記録ページ(年表・会社のいま・話数一覧) / ハルカの学習ノート ── 年末調整ラボ 基礎編

この物語は、上場企業の経理財務部の実務をモデルにしたフィクションです。登場する会社・人物・団体は架空のもので、特定の監査法人・企業・製品の手続や見解を描くものではありません。会計・税務の記述は公認会計士・税理士が監修しています。製品名・サービス名は本文に出てきません。年末調整の個別の取扱いは、勤務先や税務署にご確認ください。

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この記事を書いた人

TaxJudge編集部|公認会計士・税理士(実務25年)による企画・監修。会計基準・税法・裁決・有価証券報告書などの一次情報をもとに、検索できるデータベースと計算・判定・文書作成ツールを制作しています。