会計・経理まわりのサービス12社(マネーフォワード・freee・LayerX・Sansan・ラクス・invox・TOKIUM・OBC・弥生ほか)の公式発表を taxjudge が確認し、新サービス・機能アップデート・提携・調査のうち経理・会計事務所が見ておきたいものだけを独自の編集でお届けします。
🎧 動画で聞くメールから証憑を自動で集める・外国語の契約書もリース判定(9分)
今週のピックアップを中心に、この号の内容を音声で解説する動画です。クリックすると再生が始まります(YouTubeで開く)
① 今週のピックアップ(3件)
1. 担当者のメールボックスにつないで、届いた証憑をそのまま集める(ラクス/10/27)
電子帳簿保存のサービスで、証憑を集める係のAI機能が社内で使っているメールの基盤に直接つながるようになりました。 公式発表によると、対象は Microsoft 365 のメールボックスで、取引先から届いた請求書や領収書の添付ファイルを自動で拾い、 パスワード付きのファイルは解除したうえで保存するという流れです。 これまで必要だった専用アドレスへの転送設定や、担当者による手上げが不要になり、 普段使っているアドレスを指定するだけで済むとされています。 接続の設定自体はメール基盤側の管理者が行いますが、個々のメールボックスを読みに行く前に、対象となる従業員ごとに同意を取る仕組みが入っている点も明記されています。 追加費用はメール基盤側では発生せず、この機能自体は有償のオプションという位置づけです。 今後は他のメール基盤やWebの共有フォルダからの自動取得も検討している、とのことでした。 経理の現場に引き直すと、「請求書が担当者の受信箱で止まっている」という、月次で毎回起きる取りこぼしに直接触る変更です。
2. 日本語以外で書かれた契約書も、訳さずそのままリース判定にかける(TOKIUM/10/28)
新しいリース会計基準への対応を支援する機能が、海外の取引先と結んだ契約書を、翻訳せずにそのまま扱えるようになりました。 公式発表によると、ファイルを読み込ませるとAIが言語を判別し、リースに該当するかどうかを判定するというもので、 対象は英語・中国語(簡体字と繁体字)・韓国語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・スペイン語・ポルトガル語・インドネシア語・ベトナム語・マレー語を含む12言語とされています。 実務で効いてきそうなのは表示の作りで、判定の理由は日本語で示され、根拠になった条文は原文のまま色が付くため、 確認すべき箇所だけを原文で読みに行けばよい、という形になっています。 背景として挙げられているのは2027年4月1日以降に始まる事業年度からの強制適用で、 海外に取引や拠点がある企業ほど、対象になりうる契約書の棚卸しに時間がかかる、という点です。 料金や対象プランについては発表では触れられていません。 「英文契約書を訳すところから始める」という前工程を飛ばせるかが、見るべきところになりそうです。
3. 年末調整の申告画面が、令和8年度の改正を織り込んで質問形式に(OBC/10/28)
年末調整の申告を従業員自身に入力してもらうサービスが、来年度の改正内容を反映したうえで機能強化されたと発表されました。 公式発表で挙げられている改正への対応は3点です。1つ目は基礎控除と給与所得控除の上限・下限が引き上げられる点で、 控除額は収入などから自動で計算されます。2つ目は23歳未満の扶養親族がいる場合に、一般の生命保険料控除(新しい契約)の上限が上がる点、 3つ目は住宅ローン控除の特例の対象となる人向けの優遇が、令和8年から令和12年の入居分まで5年延びる点です。 あわせて、寡婦・ひとり親に当たるかどうか、他の所得者が控除を受けている扶養親族がいるかどうかといった判断の難しい項目を、 平易な質問への回答から機械側で判定する仕組みが入りました。前年の保険や住宅の情報を引き継ぐ機能や、 用語をその場で確認できる案内も用意されています。 経理・人事の担当者からすると、毎年この時期に集中する「これは私も対象ですか」という問い合わせをどこまで減らせるか、という話です。
② その他の更新
- 10/26マネーフォワード
家計簿アプリと、海外の大手IT企業が提供する個人向けAIエージェントとの連携を開始——利用者が接続を許可すると、入出金や資産のデータをもとに、対話の中で支出の傾向や資産の構成を確認できるようになる。金融機関のログイン情報はAI側に渡らず、連携は参照のみでデータの書き換えや取引はできないと明記されている。接続はいつでも解除できる(10月23日に発表された立ち上げ時の連携先決定を受けた、実装側の発表にあたる) - 10/29freee
SaaSと端末を管理するサービスに、外部連携の口が用意されていないアプリのアカウント情報を同期する機能を追加——ブラウザの拡張機能を入れたうえで、AIが管理画面の作りを読み取り、画面をたどって氏名やアドレスを拾う仕組み。初回だけ項目の対応付けを人が確認し、2回目以降はボタン1つで取得できるとしている。対象アプリのIDとパスワードは預からず、管理者がログイン済みのブラウザをそのまま使う形で、社内に残った旧来のシステムも対象になる(入退社に連動したアカウントの発行・削除への拡張も予定) - 10/29OBC
中堅・成長企業向けの基幹業務クラウドに、登録できるマスターの上限を広げるオプションを追加し、11月13日に発売——対象は取引先・セグメント・プロジェクト・商品などで、企業の合併や買収、海外展開でマスターの件数が増えた場合に、クラウド型のまま使い続けられるようにする位置づけだとしている(価格は発表では示されていない) - 10/29TOKIUM
請求書を発行するサービスに、送付の前段で申請と承認を行う機能を追加——承認が済んだものだけを取引先に送れる作りで、承認の状況は一覧画面から確認できる。これまで紙の回覧や別のワークフローシステムで承認していた企業からの要望に応えたもので、未承認のまま誤って送ってしまう事態を防ぐ狙いだとしている(請求書の発行側の内部統制に関わる変更) - 10/30freee
来年の確定申告を予定している個人事業主・フリーランスと副業中の会社員、あわせて2,000名に聞いた調査を公開——青色申告の控除額に関わる法改正について「全く知らなかった」が33.1%、要件まで理解しているという回答は25.9%にとどまった。適用を目指したいという回答は62.1%ある一方、手続きの複雑さやミスへの不安が障壁として最も多く挙がり、求めるサポートは会計ソフト側での要件の自動判定と注意喚起が最多だった(会計事務所からすると、個人の顧問先への案内をいつ出すかを考える材料になる) - 10/30invox
請求書を受け取る側のサービスで、10月分の機能追加2件をリリースノートに掲載——1件目は、仕訳データを書き出すときの並びや項目の形を利用者側で自由に決められるようにしたもの。2件目は、請求書をダウンロードする際に、ファイル名へ伝票番号やタグを入れられるようにしたもの。いずれも会計システムへの受け渡しや、保存したファイルの探しやすさに関わる調整にあたる - 10/30OBC
AIエージェントのシリーズ第3弾として、人材の活用を支援する製品を発売——社内に散らばっている人材の情報を1か所にまとめ、定着・育成・配置について打ち手の案をAIが示すという構成。現場の管理職向けには、部下の基本情報・評価・異動の履歴を確認できる画面も用意される。背景として、正社員の人手不足を感じる企業が5割を超えるという外部の調査が挙げられている(経理ではなく人事の領域だが、同じシリーズが業務領域を広げていく動きとして記録しておく) - 10/30ラクス
経費精算システムで、伝票を作るAI機能と、端末を限定するための電子証明書による認証オプションを併用できるようにした——これまでは両立できず、端末の制限をかけている企業ではAIによる伝票の自動作成を使えなかった。対象のAI機能は、領収書を選ぶとカードの明細や事前申請、過去の申請内容も参照して伝票を組み立てるもので、勘定科目や負担部門の入力を補助する(接続できる端末を絞る運用を続けたまま、AI側の機能を使えるようになるという変更)
導入事例・セミナー・展示会・コーポレートのお知らせなどの話題(今週は13件)は各社トピックスβに掲載しています。
③ 全件は「AIサービス動向ウォッチβ」で
※本記事の見出し・要約は、taxjudge が各社の公式発表をもとに独自に作成したものです。機能の内容・提供条件・料金は、必ずリンク先の公式発表でご確認ください。
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